宇宙線物理学研究室

最近のトピックス

2024/09/19学会発表
日本物理学会でD3の奥川君が研究報告しました。 
2024/09/04国際会議発表
D3の奥川君が8th Heidelberg International Symposium on High-Energy Gamma-Ray Astronomy国際会議で研究報告しました。 
2024/08/26国際会議発表
TeVPA2024 国際会議で研究報告しました。 
2024/04/26発表論文
"Neural networks for separation of cosmic gamma rays and hadronic cosmic rays in air shower observation with a large area surface detector array", Machine Learning: Science and Technology
2024/03/30発表論文
"Direct measurements of cosmic - ray iron and nickel with CALET on the International Space Station", Advances in Space Research
2024/03/21学会発表
日本物理学会でD2の奥川君が研究報告しました。 

放射線で探る宇宙・自然

宇宙線研究室では宇宙のさまざまな情報を担って地球に飛んで来る高エネルギー放射線 (宇宙線)を観測し、 宇宙空間や天体で起こっている現象を研究しています。 また宇宙線を観測するための放射線検出器、 解析ソフトウェアー、エレクトロニクスの開発と モンテカルロシミュレーションによる研究も行っています。

宇宙線研究とは?

宇宙の天体や空間からやってくる高エネルギーの粒子やガンマ線は、宇宙線、宇宙ガンマ線と呼ばれています。 宇宙線は1912年にオーストリアの物理学者 Victor Hess (ヘス)により発見され、ヘスは後にこの仕事によりノーベル物理学賞を授与されています。
我々の銀河天体からの宇宙線は主として陽子やその他の原子核であり、光速に近い速さで走しっています。 その発見以来、 宇宙線がどこからやってくるのか、粒子がこのような速さにいかにして加速されるのか という問題は科学者達の論争の的となってきました。 近年、超新星残骸と呼ばれる天体が高エネルギー宇宙線の起源であることが、明らかになりつつありますが、未知の現象、未解決の問題が多く残されています。
また、宇宙線、宇宙ガンマ線は天体で起こっている現象の情報を地球に運んでくれます。天体望遠鏡で星を観測するように、宇宙線、宇宙ガンマ線を測定することによって 遠く離れた場所で何が起こってるのか知ることができます。
 全宇宙線の強度分布 (Simon Swordyから)

宇宙線の持つエネルギーは、人工的には到達し得ない高エネルギーにおよび、1粒子あたり1020電子ボルトに 達します。 このような超高エネルギーの粒子は激しい天体の活動と関連した物理現象により生まれるものと推測されていますが、 、その起源はまだ分かっておらず、現在盛んに研究されています。

宇宙線、宇宙ガンマ線の観測

宇宙線は地球大気に突入すると、空気の原子核(酸素、窒素)と相互作用して多くの2次粒子を生成します。 それらはパイ中間子やその崩壊により生まれる光子、ミュー粒子などです。 光子はさらに多数の電子と光子を作り出し、これらの大量の粒子群(”空気シャワー”)が地上に達します。 宇宙ガンマ線や宇宙電子も空気シャワーを作ります。 空気シャワーの観測は、地上や高山に多くの検出器を設置して行われます。透過性の高いミュー粒子やニュートリノなどは地下に設置した検出器により観測が行われます。

また、大気で反応する前の宇宙線を直接観測するためには、気球、人工衛星、宇宙ステーションなどに検出器を乗せて観測します。

当研究室では、東大宇宙線研をはじめとする全国の大学および中国科学院、中国の大学との共同研究により、 チベットの羊八井(ヤンバージン)高原(標高4300m)で空気シャワーの観測を行っています ( TibetASγプロジェクト)。 現在、 銀河南天での宇宙ガンマ線、宇宙線観測を目指して、ボリビア・チャカルタヤ高原で新しい観測実験( ALPACAプロジェクト )を日本、ボリビア、メキシコの研究機関と進めています。 また、宇宙ステーションでの宇宙線直接観測実験( CALETプロジェクト)にも参加しています。