宇宙線の持つエネルギーは、人工的には到達し得ない高エネルギーにおよび、1粒子あたり1020電子ボルトに 達します。 このような超高エネルギーの粒子は激しい天体の活動と関連した物理現象により生まれるものと推測されていますが、 、その起源はまだ分かっておらず、現在盛んに研究されています。
宇宙線は地球大気に突入すると、空気の原子核(酸素、窒素)と相互作用して多くの2次粒子を生成します。 それらはパイ中間子やその崩壊により生まれる光子、ミュー粒子などです。 光子はさらに多数の電子と光子を作り出し、これらの大量の粒子群(”空気シャワー”)が地上に達します。 宇宙ガンマ線や宇宙電子も空気シャワーを作ります。 空気シャワーの観測は、地上や高山に多くの検出器を設置して行われます。透過性の高いミュー粒子やニュートリノなどは地下に設置した検出器により観測が行われます。
また、大気で反応する前の宇宙線を直接観測するためには、気球、人工衛星、宇宙ステーションなどに検出器を乗せて観測します。
当研究室では、東大宇宙線研をはじめとする全国の大学および中国科学院、中国の大学との共同研究により、 チベットの羊八井(ヤンバージン)高原(標高4300m)で空気シャワーの観測を行っています ( TibetASγプロジェクト)。 現在、 銀河南天での宇宙ガンマ線、宇宙線観測を目指して、ボリビア・チャカルタヤ高原で新しい観測実験( ALPACAプロジェクト )を日本、ボリビア、メキシコの研究機関と進めています。 また、宇宙ステーションでの宇宙線直接観測実験( CALETプロジェクト)にも参加しています。